Quiet Corner -心を静める音楽集- Web連載 第10回

5月の大型連休は、みなさんはどのように過ごされたのでしょうか? 久しぶりの緊急事態宣言がない連休でしたので、もしかしたら遠出された方もいらっしゃるかもしれませんが、かく言う自分はどこにも出かけずに静かに家で過ごしておりました。とはいえ、眩しく輝く陽光を感じていると、思わず夏の訪れを感じずにいられません。この夏こそは旅の計画を立てたいと思います。

Quiet Corner -心を静める音楽集- Web連載 第10回

ワールドスタンダード / World Standard for Quiet Corner – Diamond Days

さて、4月に『World Standard for Quiet Corner – Diamond Days』というCDを発売しました。これは日本のポップ・インストゥルメンタル・グループであるワールドスタンダードの楽曲を集めたものです。ワールドスタンダードは、作曲家/編曲家/プロデューサーとして活躍する鈴木惣一朗さんによるソロ・プロジェクトです。1985年、細野晴臣さんプロデュースによりノンスタンダード・レーベルからデビューし、現在までに14枚の作品を発表しております。フォーク/カントリー/ジャズ/アンビエント/ワールドミュージックなど、音楽性は幅広く、その独自に作り込まれた世界観は、国内のみならず海外からも評価が高いです。

僕がワールドスタンダードに深くのめり込むきっかけになったのは1997年に発表された『カントリー・ガゼット』というアルバムです。フォーク/カントリー/ブルースをベースとした、アメリカの古典音楽を現代的な視点で解釈したセンスに、当時の僕は衝撃を受けました。以来、ワールドスタンダードのファンになったのは言うまでもありません。また、鈴木惣一朗さんは文筆家しても有名で、多くの本を書き残しています。中でも『ひとり』と『ワールドスタンダード・ロック』は、今でも読み返すほど大切な作品で、僕が作ったディスクガイド本『クワイエット・コーナー』は、実はここから大きな影響を受けています。2021年に『クワイエット・コーナー 2 ~ 日常に寄り添う音楽集』を作る際、僕は思い切って惣一朗さんに原稿の依頼をしましたが、なんと突然のオファーにもかかわらず快く引き受けてくださいました。

本が出版され、数カ月経ったある日のこと、惣一朗さんから一本の電話が入りました。「来年、ワールドスタンダードのベスト盤を出したいんだけど、ぜひ山本くんに選曲してほしい」と。この連絡に思わず動揺を隠せませんでしたが、こんな機会は2度とあるまいと二つ返事で承諾。これが『World Standard for Quiet Corner – Diamond days』を制作するに至った経緯です。前述の通り、ワールドスタンダードの音楽性はとても幅が広く、既存の音楽ジャンルに括ることができません。どこにも属さない音楽、これがワールドスタンダードの魅力です。アメリカ/イタリア/ポルトガル/ブラジル/アルゼンチンなど、様々な国のエッセンスが散りばめられていて、まるで一枚の地図を広げているかのような気分になります。そして全編に一貫して流れる穏やかでピースフルな雰囲気にも心が惹かれます。今回は、そんなワールドスタンダードの魅力を、クワイエット・コーナーというフィルターを通して1枚にまとめてみました。日常生活の寄り添う音楽として、優しさ溢れる作品に仕上がったのではと。もちろん旅のお供にもぴったりで、車の中で流したり、スマホに入れて聴いたり、いろんなシーンのBGMとしてそばに置いてもらえると嬉しいです。

【プロフィール】
山本勇樹
HMV本部にて商品バイイングを担当する傍ら、ラジオやUSENの選曲、数多くのライナー・ノーツや雑誌への寄稿を行い、2014年には書籍『クワイエット・コーナー~心を静める音楽集』を刊行。過去に文具ブランドのデルフォニックスや洋服ブランドのニシカとコラボレーションを実現。また友人の吉本宏と共にbar buenos airesの活動も行う。2016年にはモントルージャズ・フェスティバル50周年の公式リポートを担当した。2020年12月に韓国にてクワイエット・コーナーの新刊を出版。2021年8月には、7年ぶりの新刊『クワイエット・コーナー 2~日常に寄り添う音楽集』を刊行。
https://vilakitoco66.wixsite.com/mysite

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PROFILE

山本勇樹

HMV本部にて商品バイイングを担当する傍ら、ラジオやUSENの選曲、数多くのライナー・ノーツや雑誌への寄稿を行い、2014年には書籍『クワイエット・コーナー~心を静める音楽集』を刊行。過去に文具ブランドのデルフォニックスや洋服ブランドのニシカとコラボレーションを実現。また友人の吉本宏と共にbar buenos airesの活動も行う。2016年にはモントルージャズ・フェスティバル50周年の公式リポートを担当した。2020年12月に韓国にてクワイエット・コーナーの新刊を出版。2021年8月には、7年ぶりの新刊『クワイエット・コーナー 2~日常に寄り添う音楽集』を刊行。